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季刊 『しま』|239号

 

No.239 Vol.60-2 2014.9 September 季刊『しま』目次

グラビア

故き良き島の面影 大分県姫島
写真・小林 惠

TOPICS

「今後の国境離島の保全、管理及び振興のあり方について 最終提言」の概要
内閣官房総合海洋政策本部事務局

コラム

吉田松陰の離島観
菅田正昭

報告

【続報】東京伊豆大島の復旧・復興の概況
本誌編集部

特集 離島活性化交付金

離島活性化交付金の概要と事例紹介

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国土交通省離島振興課
離島における地域活性化を推進し、定住促進を図るため、新たに離島活性化交付金が昨年4月に創設された。平成25年度補正予算から拡充された事業及び同26年度に新規事業として採択された事業を紹介する。

交流拡大に向け、台湾での観光プロモーションなどを実施

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北海道礼文町総務課
北海道への訪日外国人約79万人(平成24年度)のうち、台湾は28万人と最も多くを占めます。リピート率も高く74.8%で、親日家も多い国です。そこで、礼文島でのインバウンド始まりとして、台湾でのプロモーションを実施しました。

島々の紹介映像制作と「料理交流会」の開催

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北海道羽幌町総務課
天売・焼尻島交流活性化事業として、移住・定住希望者や島外に住む方々に対して、島の魅力を分かりやすく伝え、関心を深めてもうらえるよう紹介映像を制作しました。また島内独身男性と島外独身女性との「料理交流会」を企画・実施し、交流の場の創出を図りました。

島の魅力を伝える工夫をこらした「婚活」事業

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東京都三宅村総務課
結婚を希望する島内の男性と島外の女性の出会いの場を設けることにより、島と本土の交流を促進させ、将来的な定住人口の拡大を図るために実施した「三宅村出会いとふれあい交流事業」。事業の実施にあたっては、島内の20~40代の若者が中心となって活動している三宅島むらおこし推進委員会と役場職員が協力し、協議会を立ち上げました。

就農者育成への交付金活用で定住の促進を

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東京都八丈町産業観光課
「八丈町農業担い手育成研修センター」を活用した就農者の育成に取り組んでいる。各種補助金を活用しながら事業を行なっているが、離島活性化交付金は、他の補助金の対象となっていない研修センター内の整備賃金、肥料・農薬代、研修生の島外視察費などに用い事業の推進につなげている。

認証米の認知度や、トキに関する理解度が向上

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新潟県佐渡市地域振興課離島交流係
佐渡産の認証米をはじめ加工品などの販路拡大を図り、島内における産業活性化を目指す「佐渡米販売網構築事業」を実施。あわせてトキの保護や野生復帰へ向けた活動を全国に発信することにより、地域経済の活性化や交流人口の促進につなげる「トキ政策推進事業」に取り組んでいます。

ロケの誘致による知名度向上と観光振興を

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島根県隠岐の島町定住対策課長 鳥井 登
島を知ってもらうには、どうすればいいか? これまでは大金を準備して広告代理店や放送関係業者にお願いする方法ばかりに目が向いていました。この状況を打開すべく発想されたのが「隠岐の島フィルムコミッション」の設置です。これは映画やテレビなどのロケ誘致や撮影を支援することによって、交流人口の拡大を狙うものです。

国内外の販路開拓や新たな特産菓子の開発に挑戦

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島根県海士町「株式会社ふるさと海士」特命担当主査 濱中香理
島の魚介類を加工し「島風便」ブランドとして首都圏の飲食店などに販売しています。この島風便ブランドをさらに確立していくために、国内はもちろんドバイで開催された商談会「ガルフード」への参加など海外展開を視野に入れた販促活動を展開しました。また、島の原料を使った特産菓子の開発にも取り組んでいます。

島産の銘石を活用した新たな観光振興を目指して

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岡山県笠岡市建設産業部経済観光活性課
島の歴史的な資源である「白御影石」を活用し、2ヶ年で「石材産業」+「観光産業」のモデル化を実現させることを目的に、アーティストに北木島に住んでいただき「石」を活用した制作活動を行なってもらう「笠岡諸島アーティスト・イン・レジデンス事業」を実施しました。

防災意識の向上へ、津波ハザードマップの作成や標識を設置

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広島県大崎上島町企画振興課
自然災害時の適切な対応を確立するため、防災に係る標識などの整備や、避難場所の確認のための津波ハザードマップの策定、町全体の地形の正確なデータ化などに取り組んだ。地域住民の防災・津波などへの意識の向上につながっている。

空き家改修などにより定住の受け入れ態勢を構築

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山口県萩市商工観光部商工振興・企業誘致推進課
市の島々の定住誘引にかかる多様な情報を掲載したパンフレットを作成し、県内外のさまざまな定住イベントで配布した。あわせて相島の空き家を一軒改修し、島での居住場所の確保。一人でも多くの方々を受け入れて人口増加を目指すこととした。

離島暮らし体験ツアーなどで移住の促進を目指す

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香川県政策部政策課地域づくり推進室
香川県では、離島への移住・交流の促進や活性化を図るため、離島活性化交付金を活用して、大都市圏での移住フェアや情報誌などを活用した島の情報発信に努めるとともに、島暮らし体験ツアーを実施するなど、県内離島の魅力PRに努めている。

「瀬戸芸」開催後も継続して観光客が訪れる島に

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香川県観音寺市政策部企画課
「瀬戸内国際芸術祭2013」を契機とし、芸術鑑賞を取り入れた特色のある観光資源の開発などを行なう「瀬戸内国際芸術祭関連事業」を実施しました。また、これに加え、首都圏での伊吹島のPRを行い「伊吹いりこ」の普及促進や観光・交流情報などの情報発信する事業を実施しました。

島が中心となったイベント開催で交流人口の拡大を

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愛媛県松山市総合政策部坂の上の雲まちづくりチーム
松山市では島しょ部の持続的な発展と活性化を図ることを目的とした「愛ランド里島(りとう)構想」を平成24年に策定し、その具現化を進めている。このような中、離島活性化交付金が創設されたことから、この交付金を活用し、「瀬戸内しまのわ2014」での観光プロモーションや島の独身男性を対象とした「里島出会い創出事業」を実施した。

甘夏とワカメを商品化、各種交流プログラムを開発

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福岡県宗像市元気な島づくり課
大島では、特産品の甘夏みかんを有効活用し、かつ、拡大する遊休地問題解消のため、甘夏みかんの集団オーナー制度を実施しました。地島では、漁業者が従事する遊漁船を活かし、新たな釣り客を確保するため「遊漁船お試し体験事業」を行ないました。平成26年度からは、これらに加え、人材育成・確保など10種類の交付金を活用した事業を行なっています。

イノシシ・シカ対策による人づくりと地域おこしへ

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長崎県対馬市総合政策部政策企画課
里山に住むイノシシ・シカによる農林業被害などの問題は、被害農家だけでなく地域全体の問題であるため、多くの地域住民を巻き込んだ対策にする方法として、離島活性化交付金を用い、捕獲されたイノシシやシカを肉や革として活用する取り組みを開始しました。

歴史文化の魅力を伝える「デリバリーミュージアム」

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長崎県壱岐市教育委員会文化財課
島内の文化財資料を活用し、他地域において展示公開することで、「壱岐の魅力」を多くの人に知ってもらうこと、ひいては交流を拡大することを目的とした島内文化財資料活用展示公開事業(デリバリーミュージアム)を実施しました。本事業を壱岐への観光動向が少なくなる冬シーズンの誘客、三月からの新たな観光誘致につなげたいと考えています。

積極的な販路拡大で五島ブランドの確立を

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長崎県五島市市長公室 山下大輔
五島市の特産品の全国PRおよび販路拡大を推進するため「五島ブランド確立推進事業」を実施した。本市においては農水産物の加工、販売を手掛ける地元企業は零細企業が多い。そこで、五島市内における産品を県内外へ紹介し、戦略的かつ効果的な物産の振興に取り組む一般社団法人五島市物産振興協会の活動を支援し、地元産品のPRに努めた。

自然豊かな島の再生可能エネルギー導入計画を策定

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熊本県上天草市市民生活部環境衛生課
湯島は雇用の場が少ないことから若年層の人口流出による高齢化や農水産業の担い手・後継者不足などの課題を抱えている。そこで、同島の豊かな自然を活用した新エネルギーの導入に着眼し、関連産業の誘致による雇用の創出とともに、災害発生時の孤立防止のためのエネルギー確保などを目指す「湯島におけるエネルギー自給自足による地域振興モデル事業」に取り組んだ。

都市在住者の専門知識とスキルで島おこし活動を支援

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鹿児島県企画部離島振興課
県内市町村からの推薦をもとに、甑島、種子島、中之島の各離島で活動している地域おこし団体を対象に選定し、それぞれの団体が抱える課題を解決するために有効なスキルを持った島外の人材確保などの支援を行ないました。また、県内離島関係市町村で構成する検討会を開き、支援体制のあり方や今後の事業展開などについて検討を重ねました。

住宅リフォームや先進地視察、特産品販売などの試み

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鹿児島県長島町企画財政課
獅子島の人口増加を目的に、UIターン者向け住宅を確保するため町の既存住宅をリフォーム。入居者の募集を行なった。このほか「観光・交流拡大の調査研究事業」として、他の離島において実施されている施策や活動されている団体の研究などを実施。それらを参考に、試験的に特産品販売所を臨時開設するなど、試験販売を行なった。

島々の自然を満喫するプログラムづくりと地元食材の特産品化

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鹿児島県三島村定住促進課長 宮田雄次
平成25年度から離島活性化交付金を活用し、「三島村特産品開発支援事業」として、七色の海を持つ硫黄島や、特に透明度の高い海を持つ竹島においては、シーカヤックのインストラクター免許取得のフォローアップに取り組んでいる。「ミニ屋久島」と称される黒島においては、山登りの体験プログラムづくりを行なった。

流通の脆弱さをカバーする農林水産施設を整備

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鹿児島県十島村総務課政策推進室
南北約160kmと“日本一長い”十島村。出荷が週2便しかない船便により左右されること、海上輸送費がかかるなど、離島固有の「流通の脆弱さ」をカバーするために、村では海上輸送費支援や農水産物施設整備を進めている。水産加工施設では、急速冷凍機や冷凍庫・冷蔵庫を揃え、水産物の鮮度保持を可能としました。

寄稿

島暮らし讃歌 徳島の島二つ(後篇)
川口祐二

連載

<写真の向こう側>
定説の消去
加藤庸二
<島の精神文化誌>
第21話 トシドン(後篇)
土屋 久
<「しま」の原景>
第27景 佐渡船の航路(その六)
佐藤利夫

書評

須山 聡編著『奄美大島の地域性──大学生が見た島/シマの素顔』

林田憲明著『火山島の神話──「三宅記」現代語訳とその意味するもの』

表紙… 長崎県 壱岐島

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