No.231 Vol.58-2 2012.9 September 季刊『しま』目次
グラビア
- 学びの場、人づくりの島へ 新潟県粟島
- 写真・小林 惠
TOPICS
- 離島ガソリン流通コスト支援事業について
- 資源エネルギー庁石油流通課
コラム
- 再びシマなどの〈間〉について
- 菅田正昭
報告
- 宮城県離島の復旧・復興の概況
- 本誌編集部
- 男女群島・肥前鳥島視察記
- 渡邊 東
特集 離島振興法改正
① 改正法への期待
改正離島振興法に期する
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全国離島振興協議会会長 白川博一
全国の離島関係者が成り行きを注視していた改正離島振興法は、平成24年6月20日、参議院本会議において全会一致で成立、同27日に公布され、同25年4月1日から予定通り施行されることとなった。従来のハード整備支援に加えてソフト施策の大幅な拡充が図られ、まさに抜本改正という評価に相応しい内容であり、離島振興の地平を切り拓く新しい法律の制定であると受け止めている。
② 改正法の概要
離島振興法の改正について
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国土交通省国土政策局離島振興課長 大野 淳
同 離島振興課長補佐 中村克彦
今回の改正では、まず民主党、自由民主党、公明党で離島振興法改正に向けての関係者からの意見聴取や現地視察、検討が進められたところであるが、特筆すべきことは、平成23年11月に、民主党、自由民主党、公明党、日本共産党、社会民主党、みんなの党及び国民新党の離島政策にかかる実務者からなる各党実務者会議を設け、立法作業の当初より7党体制により協議、検討が進められたところにある。
③ 改正法の成立
与野党の想いを結集した新しい振興法
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民主党 離島政策プロジェクトチーム事務局長 打越あかし
これまでの離島振興はハード整備が中心であり、社会資本は本土並みになってきた。しかし、この60年間で本土側の人口は増加したにもかかわらず、離島の人口は減少し続けたという事実がある。やはり、人を島に呼び、島で生きがいを持って住んでもらうためには、ハード整備だけでは足りないという大きな反省が根底にある。そこで、ソフト面を重視した法改正を模索した。
格差是正を基本骨子とする法改正を実現
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自由民主党 離島振興特別委員会事務局長 宮腰光寛
法改正の基本的な考え方とは「格差の是正」。生活上のコスト格差はもちろん、教育や介護・医療サービスを受ける機会の格差も厳然としてある。そうしたさまざまな格差をできる限り是正するという趣旨で、多くの施策を盛り込んだ。基本的な格差の是正については国の責任でしっかりとやり、それぞれの島の事情にもとづいた振興策については島側できちんと考え、それに対して国が支援していくというのが基本骨子となっている。
徹底した現場主義で取り組んだ法改正
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公明党 離島振興対策本部長 遠山清彦
今回の協議を通して学んだのは、立法府が一致して求めれば、難しいと思われている法案も実現化できるということ。まさにそのことを証明するような、大げさに言えば国会史上画期的な法改正協議だったと感じている。改正法のポイントとしては、基本理念のなかに「国の責務」「離島の定住促進」を入れたこと。法律の基盤となる考え方、つまり哲学を変えたという意味で非常に画期的なことである。
こだわりをもって臨んだ離島予算の明確化
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みんなの党 政策調査会副会長 桜内文城
今回の改正法のなかで、わが党として強いこだわりを持っていたのが財政上の措置について。とくに公共事業関係の補助金について、いまは一部が一括交付金(地域自主戦略交付金)という形になっているが、離島分についてはしっかり明確化するという点について強調して申し述べた。しっかりと使途を特定し、離島の事業に充てていくという点については、絶対に譲ることができなかった。
※所属政党名等は改正法成立当時のものです。
安心して住み続けられる離島を目指して
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日本共産党 離島振興対策委員会事務局長 塩川鉄也
各党協議の出発点として確認したのが、最大の課題である「人が住み続けられる環境整備」 「定住または移住の促進」を踏まえた、法改正にしていこうということ。これまでハード中心だった離島振興の施策について、定住促進に資するソフト事業の抜本的な拡充を図ることが大きな特徴だった。この点、各党の皆さんが本当にさまざまな知恵を出されて、じつに内容豊かな法改正になった。
自然の摂理としての離島振興
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社会民主党 幹事長 重野安正
私たちの住む島は、神様が与えたもうたもの。島の暮らしを守ることは、国を守ることにつながる。しかし、それには多大な努力が必要。人の暮らしがあって、その暮らしが島を豊かにしていくという、よき循環を生み出していく。島と人との共存共栄という発想を持つべきだ。その循環をもたらすのは、政治と行政の仕事。離島や過疎地の振興は、ある意味では自然の摂理である。
自らの島に誇りを持った発想と提案を
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国民新党 幹事長 下地幹郎
今回の改正法で評価できるのは、島の側が主体的に動きやすい枠組みをつくったこと。人や物、産業が動きやすい環境ができたことで、新しい離島振興の方向性が見えてきた。離島は東京などの基準に、合せよう、とする癖がある。しかし、離島ゆえの基準があると思う。島の実情に基準を置いて、もっと発想豊かに、自分の島に誇りを持った提案をしなければならない。
連載
- <写真の向こう側>
嗚呼、オーハ島
- 加藤庸二
- <島の精神文化誌>
第13話 オノゴロ島と沼島衆(前篇)
- 土屋 久
- <「しま」の原景>
第19景 木綿の道
- 佐藤利夫
- <瀬戸内海の今を歩く>
第45景 香川県佐柳島・高見島(佐柳島篇)
- 齋藤 潤
事業
- 防災講演会を三重県の島々で開催
- 本誌編集部
訃報
- 深悼 山階芳正 全離島幹事逝去
書評
片野 歩著『日本の水産業は復活できる!――水産資源争奪戦をどう闘うか』
菅田正昭著『青ヶ島の神々――〈でいらほん流〉神道の星座』
表紙… 長崎県 対馬島